ななちゃん(仮名)はひとりっ子で、
ご両親はとても甘い愛情を注いで育てられました。
しかし、ななちゃんは時折情緒不安定なところがあり、
ピアノを弾き間違えると、自分の太ももや頭をゲンコツで叩くなど、
自分に対して厳しい一面がありました。
レッスン中、弾けない部分があって「もう一回弾いてみようね」と
優しく促すと、「もう!だって弾けないんだもん!」と
激怒してしまうこともありました。
中学生になると、ななちゃんのご両親は彼女を
独り立ちさせようと思ったのか、
少し放任主義のような態度に変わりました。
ななちゃんにとって、それは寂しいことだったのでしょう。
しばらくして、ななちゃんは「にゃー、にゃんにゃん」などと
「にゃんにゃん言葉」を話し始めました。
私も彼女の「にゃんにゃん言葉」に合わせ、
同じように応じていました。
こうしてお互いに「にゃんにゃん」と言い合う時間が、
ななちゃんの心を少しでも癒してくれればと思ったのです。
そのやり取りは高校2年生になるまで続きました。
そして、ある日のレッスンの時、
ななちゃんがぽつりとつぶやきました。
「先生、相手してくれてありがとう。お父さんもお母さんも、
すぐ怒るねん。そんな幼稚なことはやめなさいって。
一緒に付き合ってくれたの、先生だけ。ありがとうございます。」
その言葉に私は胸が熱くなり、自然と涙があふれました。
思わずななちゃんを抱きしめ、彼女がどれだけ勇気を
出してこの言葉を言ってくれたかを思いました。
高校3年生になると、ななちゃんは受験を機に
ピアノのレッスンを卒業することになりました。
最後の挨拶にお母様が一緒に来られました。
そして、お母様は私にこう言ってくださいました。
「先生、先生にはピアノだけでなく心のケアまでしていただき、
本当に感謝です。ホントに先生に習ってよかった。」
その言葉に、私の心もまたあたたかく、そして涙がこぼれました。
ななちゃんと共に過ごした時間、
笑顔も涙も、すべてが大切な思い出となりました。
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