ピアノ教室に通うと鬱になりづらいのでは?
そう思わずにはいられないデータがあります。
まずは、一般的な今の子供たちの現状です。
子どもの15%以上 “うつ症状” 新型コロナによる心の影響調査
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210210/k10012859671000.html
衝撃的なニュースが、日本を駆け巡りました。
1、うつの自殺の因果関係
うつと自殺の因果関係についても、米国精神医学会が作成したDSM-5には、
うつ病の診断基準の一つとして「死について繰り返し考える」という項目が挙げられています。
また、内閣府の発表によると、自殺の原因が健康問題であった人のうち、
うつ病は42.1%を占めていたと報告されています。
※DSM(精神障害の診断・統計マニュアル)は
うつ病などの精神疾患や発達障害の診断の際に、
症状が当てはまるかどうか判断する世界的な診断基準です。
2、メディア報道
コロナになって、各種メディアでも
連日以下のような報道がされています。
首都圏ナビより
子ども・若者の自殺 ~周りの人ができること~
・2019年と2020年の子ども・若者の自殺者数
・ゲートキーパ―とは
・自殺の原因・動機(出典「令和元年版自殺対策白書」)
・TALKの原則
・子どもが「死んだ方がましだ」と言ったら…
・大学生の自殺
https://www.nhk.or.jp/shutoken/hirumae/20210531.html
CBCテレビ
5月5日(月)の『CBCこども未来キャンペーン特別企画
「こどもがアブない!」』
https://hicbc.com/tv/program/kodomo/
新聞でも
3、子どもとうつアンケート
国立成育医療研究センターでの
「コロナ×こどもアンケート」第4回調査報告
https://www.ncchd.go.jp/press/2021/20210210.html
国立成育医療研究センターが20年11~12月、
小学4年から高校生の計715人を調べると、
24%が「死にたくなることがある」と回答したとのこと。
実際に自分の体を傷つけた子も16%いたそうです。
▽小学生の15%
▽中学生の24%
▽高校生の30%に、
中等度以上のうつの症状がみられました。
4、ピアノこころのアンケート〜ピアノこころのほけんしつ
ここでの小4から高3まで、715あまりの子ども達の行ったアンケートと、
同じ趣旨のアンケートを全国のピアノこころのほけんしつ登録教教室にて実施。
229名のデータを集計したところ、以下のような結果が出ました。
小学生では、中等度以上のうつの症状は、8%
中学生では、中等度以上のうつの症状は、14%
高校生では、中等度以上のうつの症状は、6%
という結果に。
▽小学生の15%→8%
▽中学生の24%→14%
▽高校生の30%→6%
と半分の数値に。
これは、ピアノレッスンには3つの影響があるのではないかと思います。
・音楽療法的作用
・コミュニケーションの作用
・自己肯定感アップの作用
5、音楽療法的影響
音楽が「うつ」の治療薬として使われている事例があります。
YouTubeの動画と翻訳の一部抜粋を載せます。
うつ病のための音楽療法
翻訳 河村まなみ
7%近くの米国人成人が「うつ」と戦っています。
それは長い戦いですが、音楽がその治療薬として使われている事をご紹介します。
「音楽は最もパワフルな人類への贈り物の一つです。生きている間に起こる心の問題を解決するのに役立ちます。」
二人の男性がギターを弾いています。
サイモンとガーファンクルの「ボクサー」です。
ハウィにとって特別な曲で、彼の声がそれを表しています。
16歳の頃に彼の人生は狂ってきてしまいました。
「うつになってしまい、そこから抜け出せなくなってしまいました。ある夜2時ごろに教会の牧師に電話しました。」
牧師は、彼と話した後で、彼を精神病院に入れたのです。
「その時、私は驚き、裏切られたという気持ちもありました。でも、今思うと、それで自分に必要だったと思います。」
彼にとって入院は祝福になりました。
マークを通して音楽療法に出会ったからです。
「入院中、マークは雑談などしながら、私が聴きたい曲を一緒に選ぼうとしてくれましたが、私はいつもLet It Be を選んでましたよ。」
「普段は、もっと色々な種類の曲を聞いてみよう、と言うのですが、彼はその一曲にこだわっていた。それを尊重しました。その人がその曲を好きで、その人を表すと思ったからです。誰でも心に響く曲というのを持っていますからね。」
彼のうつを克服する戦いに、音楽療法は欠かせませんでした。
「一日15分でも音楽を楽しんむだけで、とても良い効果があります。」
この20年、うつ等の精神疾患の治療法は進歩し、治療施設が増え、このような療法が取り入れられることが多くなり、患者に寄り添い、良い成果が出ています。
「薬による治療より、このような治療の方が効果的なことも多く、この方が人生の長い期間を健全に過ごせるための助けになります。」
ハウィは、うつを克服した良い例で、今では家族を持ち、牧師として仕事をしています。
最近、音楽療法士であり友人のマークに感謝の手紙を書きました。
「手紙は心に響きました。」
その手紙には、音楽療法の力、一番大変だった時に治療を通して助けてくれた感謝の言葉が綴られていました。
「この様に患者さんの人生を変えてあげられる事を願いながら仕事をしています。」
ハウィは今でもうつが少し残っていますが、サイモンとガーファンクルの「ボクサー」の歌詞のように前進しています。
音楽療法とマークに感謝します。
この様な戦いは続きます。
翻訳 河村まなみ
「音楽療法は鬱に効果的なようだが、どのように?」
Music therapy for depression: it seems to work, but how?
Published online by Cambridge University Press: 02 January 2018
ケンブリッジ大学プレス 2018年1月2日
音楽療法の研究により、うつ病患者にとって音楽鑑賞は効果的で、
楽器を弾くという音楽活動が音楽鑑賞よりも更に効果的だという事がわかってきた。
その理由として音楽活動には「能動的な行動」が含まれる事が考えられる。
鬱の原因の多くに、生活の中での喜びの減少、人生の意味の欠如、
美的経験の欠如などが含まれるが、
音楽療法(患者に演奏や即興をさせる、セラピストと一緒に即興演奏するなど)は
1. 音楽美を経験する事ができる。
2. 楽器を弾く事は意図的に計画的に体を動かす必要があるので、体の動かしながら目標を達成する行為が鬱の軽減や回避に役立つ。
3. 患者が音楽療法士との個人的な関わりを通して、人間関係の喜び、自己の発見、社会的接点の構築を経験する。
4. 言葉以外のコミュニケーションを経験できる。
以上のような理由によって、音楽活動は鬱の治療に効果的だと考えられる。
翻訳 河村まなみ
このように、うつの治療として音楽の活用は、どんどん進歩しています。
ピアノレッスンに来る生徒は、少なからずこの音楽の恩恵を受けていると思われます。
こちらの動画に引用されている情報も。
6、コミュニケーションの影響
コロナ禍で、人と人の接触頻度を下げることが余儀なくされています。
コロナ防衛としては、効果は大いに期待できるが、同時にある問題が浮上してきました。
コミュニケーションの欠落です。
人は、社会性の生き物であり、社会を構築し、その中で生活していきます。
人は一人では生きられません。
それは、物理的な問題以上に、精神的な問題が大きいのです。
人と人との接触の中で、コミュニケーションが生まれます。
このコミュニケーションこそ、私たちが健全な精神を維持するのに必須なものです。
話をする、話を相手に聞いてもらう効果には様々なものがあります。
受け止められたという完了間が安心感を生み出す。
話し終わるとすっきりした気持ちになる。
すべて出すことで新たなものを受け入れることができる
自分の言葉に価値があると思える
話すことで自覚する
カタルシス効果(気持ちの浄化)
自己肯定感が生まれる
など・・・
ピアノレッスンでは、まさにレッスン室で、1対1のコミュニケーションが繰り広げられ、先生が生徒の話を聞くことによって、上記のような作用が生まれます。
7、実行機能の影響
ピアノのレッスンでは実行機能を向上することができます。
実行機能とは、複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知システム、あるいはそれら認知制御機能の総称。
詳しくはこちらの記事で
8、ピアノこころのほけんしつ
ピアノこころのほけんしつは、2019年から、ピアノ教室ゲートキーパー宣言として、始動始めました。
【2019年版ピアノ教室ゲートキーパー宣言(ピアノこころのほけんしつ 自殺予防プロジェクト)
https://coachinglesson.com/piano/2019kokoro/
【2021年最新版】ピアノこころのほけんしつ 自殺予防プロジェクト
活動としては、
保護者向けの自殺防止パンフレット
生徒向けのメッセージカード
専用ロゴ教室ステッカーなどを総計2万5000セット作成。
全国のピアノ教室に呼びかけ、賛同いただけるピアノ教室に無償で提供。
各ピアノ教室から、生徒家庭に配布してもらいました。
登録教室
2019年300教室
2021年300教室
のべ600教室
9、まとめ
ピアノこころのほけんしつに、賛同くださったピアノ教室の共通点は、生徒の心に寄り添うレッスンスタイル。
レッスン、また教室運営においてコミュニケーションの頻度が高いと思われます。
その教室でのアンケートということで、他のピアノ教室よりさらに、子供たちのストレス軽減に一役買っているのではないかと思います。